帝国とは、独自の文化と領土を持った多数の民族を支配下におき、境界が絶えず変動する特徴を持っていた…帝国は大きさや人口や軍事力や独裁制ではなく、多様性と柔軟性によって定義できる…征服された無数の小さい少数民族は長い時間をかけて消化吸収され、固有の文化は徐々に消滅した…
サピエンスは他の社会的動物と同じように自分たち以外を別ものとする民族的排他性を持っている…しかし帝国のイデオロギーは、逆に世界の人々を包み込みさらに面倒を見ようとする…被支配者のための支配…この慈悲深さは征服を正当化するとともに、反乱や抵抗を沈める味方にもなった…滅亡する帝国は、反乱ではなく支配層の内部分裂か外部侵略が要因だった
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SAPIENS
サピエンスは「虚構」という人工的な本能によって、見ず知らずの厖大な人たちが協力できる「文化」というネットワークを作りだした…文化は環境の変化、他文化との交流によって変化する…さらに、虚構に内在する避けられない矛盾に折り合いをつけるかのように変化する…中世の文化は騎士道とキリスト教の間に折り合いをつけられなかった…同様に現代社会も自由と平和に折り合いをつけられずにいる…これらは文化にとって欠点ではない…創造性と活力の源だろう…
文化は統一と分裂を繰り返しながら徐々に大きな枠組みへと拡大していく…多様で異なる文化のようでも、次第に同じ概念で口論し、同じ武器で争うようになる…トマトはメキシコ原産だが、イタリア料理に欠かせない…インディアンが乗る馬はヨーロッパ原産…いずれも文化交流によるものであり、純正はもはやありえない…このようなグローバル化の重要な段階は紀元前1000年紀に訪れていた…サピエンスは全世界と全人類を想像し、普遍的な3つの秩序を発明する…
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SAPIENS
サッカーの試合を可能にしているのは、サピエンスがルールを学んだからであり、決して遺伝子にコードが組み込まれているからではない…ハチやアリはDNAに行動がプログラムされているが、サピエンスはデータベースである脳への書き込みから始めなければならない…しかし脳は容量制限があるとともに新しい生命に引き継ぐこともできない…そして大きな社会は膨大で複雑な情報を必要とする…人類は脳の外にデータを保存する術を手にする…「書記」の誕生
シュメール人による人類初の書記は話し言葉の文字化ではなく、数の記録など限定的なものだった…やがてメソポタミアで楔形文字、エジプトで象形文字という完全な書記体系が確立される…
数理的データの保存や処理においては9世紀以前に発明されたアラビア数字によって飛躍的に効率を上げることになった…アラビア数字は今もなお、世界の最も有力な言語となっている…さらに今日、数理体系は0と1だけの2進法によるコンピューター処理へと進化している…書記とは人間の能力をサポートするものであったが、次第に人間の意識の主人へとなりつつある…
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SAPIENS
1.2万年前、サピエンスの生活は農耕と牧畜によって一変する
それは生命を操作することを意味する
IPS細胞から臓器を再生することと同じだろう
すでに紀元前3千5百年前には、人類による栽培化/家畜化はピークを過ぎていた…
農業は蓄えを含む多くの食料とともに急激な人口増加をもたらした…しかし豊かに思えた生活環境は悪化の一途を辿る…1日の殆どを労働で過ごすようになり、関節炎やヘルニアに悩まされ、定住が感染症の温床になることによって幼い子供が犠牲になった(お粥により離乳が早まり抵抗力が落ちたことも原因)…人口増加は高い死亡率を上回る出生率のおかげだ…貧富の差は拡大し、労働者に返ってくる食料は減り…恵みをもたらすはずの土地は争いを激化させる要因にもなった
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SAPIENS
私たちサピエンスは20万年前にこの世に現れた…そして農業が開始される1万2千年前まで、私たちは狩猟と採集で生き抜いた…この狩猟採集時代こそ最も長く生きた時代であり、今の私たちを形成し現在に影響を残した時代だと考えることもできる…
当時のサピエンスは同じ身体的特徴を持っていたにも関わらず、虚構の登場によって異なる想像上の現実を生み出すことができた…生活をともにする各部族によって、異なる独自の言語/習慣/価値観を持っていたと考えられている…部族構成を例にとるなら、現在主流の一夫一婦核家族制以外に、もっと原始的な共同体もあったとういう説もある…つまり男性は父権を持たず、女性は同時に複数の異性関係を持ち、部族全員で子育てをする…この説の支持者は、長い時間をかけて埋め込まれた遺伝子が現代の一夫一婦制に合わず、それが不倫や離婚の絶えない要因だと考えているらしい…嫉妬や不倫に対する罪意識、殺人に対する罪意識、それらは社会に依存しているのだろうか…
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SAPIENS
なぜサピエンスは他種を一掃するほどになりえたのか?原因は定かではないが、とにかく私たちは「新しい言語」を手に入れた
言語は人間だけのものではない…他の動物も何らかの手段で意思の伝達をしている…声を使うものも多い…ではサピエンスは何が特別だったのか…それは「噂話」に始まったという…噂話は目的が希薄であり、いわば日常会話…現在のSNSも同じだろう…形容、感想、意見、評価、推測、それらは絡み合い、見たことも触れたこともない「虚構」という新しい現実を作り出す…
虚構とはフィクションであり架空の出来事だ…しかしここで言う虚構とは私たちが普段信じているもののことを言う…例えば「国民」「お金」「人権」「正義」「法律」「会社」などなど…これらはすべて実在しない…ほかの動物が察知できない世界だ…意味によって編まれた世界にあるもの…紙切れや電子媒体に情報として記録されているものもあるかもしれないが、物理的には所詮紙切れである
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SAPIENS
ハラリの『サピエンス全史』を辿ってみる
人間は私たちホモ・サピエンスだけではなかった
他種の人間は絶滅している
ほんの一部だけ現生人種に他種のDNAが残っているらしい
生物は上位から「類」「科」「属」「種」で大別される
私たちは霊長類だ…ゴリラやチンパンジーは仲間…その下位に「科」があり、祖先を遡ると同じ単一生物にたどり着くらしい…私たちはヒト科だ…その下位に「属」があり、私たちはヒト属になる…その下に「種」があり、私たちはホモ・サピエンスと呼ばれている…同じ種内は繁殖力があり交尾の対象として興味を持つ…違う種は興味を示さないか或いは交配があっても子孫に繁殖力がない傾向にある
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Arendt
Eichmann in Jerusalem
アイヒマンはナチスにおいてユダヤ人を強制収容所へ移送する指揮を担っていた…戦後は逃亡に成功し、ニュルンベルク裁判を免れている
その後アルゼンチンで潜伏生活をしていたところをイスラエルの諜報機関に逮捕されイスラエルに連行される…イスラエルの単独裁判によって絞首刑の判決がくだされ処された
アイヒマンは自らを有罪だと理解していた
しかし裁判での告訴状に対しては反論し、まずユダヤ人を直接殺害してはいないし命令もしていない…そして自分の行為は当時のドイツの法に従うものであり命令に服従したに過ぎない…と主張した…
誰もがアイヒマンと同じように考え行動していた…彼だけを裁くことができるのか…しかし抵抗した人もいた…彼らは任務を躊躇、辞退し、肉体労働に従事するか自ら死を選んだ…また、裁きは思想ではなく行為に対して行われるもの…よって逃れることはできない
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Arendt
The Human Condition
議会制民主主義とはいえ、ごく少数の代表者により決定が行われ、その間国民は労働と消費に忙しい
アレントは古代ギリシアのポリスと現代社会を比較しながら、大衆のあり方を描写している
◆人の営みと領域
労働/レーバー/プライベート
生命維持のために必要な行為…その成果は消滅する
アテナイでは家庭内の私的な閉じた領域での行為
主人への服従が求められ、暴力と命令が行使される
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Arendt
The Origins of Totalitarianism
良識を持った一般国民までがヒトラーに幻想を抱いたのは何故か…
プロパガンダや利害関係だけではなく、道徳規範の崩壊があったから…
それはナチスとともに訪れ、ナチスの崩壊とともに去っていった
◆国家の成立 → 人種差別
国民国家
領土内の住民すべてを構成員(国民)として統一を計ろうとする国家
国王による王政と違い、主権は国民にあり法の元に統治される
国家領土と民族分布がほぼ同じ場合、国家はまとまる傾向にある…逆に同一民族が国家をまたがって分布している場合、または国家内部の複数民族のうち、単一民族が主導権を握った場合などは、内戦や侵略戦争の契機につながる…前者は西欧(イギリス、フランス)に見られ、後者は東欧(ドイツ、ロシア)に見られた…後者ではたらくナショナリズムは「種族的ナショナリズム」と呼ばれる
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