UTOPIA

◾️ 第1章 過去最大の繁栄の中、最大の不幸に悩まされるのはなぜか?

人類はつい最近まで貧しく飢え、不潔で病を抱え、醜かったしかしこの200年の間に突如裕福になり、清潔で健康になった…1820年に84%を占めていた極めて貧しい生活者が現在10%を下回っている貧しかった頃、人々は理想郷を思い描いていたしかしそれを手に入れようとしいる現在、豊穣の地は霧に包まれている私たちの本当の危機は、よりよい暮らしを思い描けなくなっていること子供達は親世代より悪い時代を生きることになると信じている裕福になったのに以前にも増して懸命に働いている政党はどこも似たり寄ったり…10代の最大の健康問題はうつ病資本主義だけでは豊穣の地を維持できない私たちは再びユートピアを描く必要がある
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UTOPIA

歴史を眺めると、現代社会はユートピアに見えてくる
ただ手に入れた多くの恩恵はそれに見合った犠牲に支えられてはいないか
犠牲者とは貧困に苦しむ人たちかもしれない
飢餓に苦しむ人たちかもしれない
動物たちかもしれない
森や海や大気かもしれない
私たちの時間かもしれない
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Social Security

■ 日本 1/2

ヨーロッパに於いてはキリスト教の博愛精神が貧困者に対する救貧活動に発展した経緯があった…しかし日本に於いては仏教の「慈悲」や儒教の「仁政」の精神が重視されながらも具体的な福祉活動に至ることはなかった…唯一1643年の江戸幕府による「五人組活動」があるが、社会保障と呼ぶにはまだ十分なものではなかった…
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CLOSE

自然界にボスザルはいない
人の餌付けによってボスが生まれた

定住なき世界は開かれていて…
留まることで世界は固定され、閉鎖される
効率は上がるが呼吸は苦しくなる

閉じることで戦いが生まれ
閉じることで格差が生まれ
閉じることでイジメが生まれる
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Globalization

お金社会では、誰かが得をしたら誰かが損をしているように思える
世の中のお金の総額が一定ならそうなるはず…
しかしここ日本でこういう理屈が語られることはない
むしろ競争社会を生き抜く倫理が教訓のように語られる
ここでは貧困が社会問題ではなくなっている
どういう仕組みなのか…
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La faim dans le monde expliquée à mon fils

世界の半分が飢えるのはなぜ?
著 ジャン・ジグレール
監修 勝俣 誠
翻訳 たかお まゆみ

1999年出版…少し古いのかもしれないが、飢餓の本質は変わらないだろう…最後のエピローグに著者の分析/解釈と主張/提案が集約されている… Continue reading “La faim dans le monde expliquée à mon fils”

Social Security

■ アメリカ

独立国となったアメリカはイギリス救貧法を模倣し運営は地方政府に任せた…しかし自由主義を信奉するアメリカにおいて公的機関である地方政府の救貧活動が好意的に受け入れられることはなかった…19世紀後半には民間の慈善団体が組織されたり、大学関係者が慈善活動を行うなど、ソーシャルワークと呼ばれる公的機関以外の慈善活動が目立つようになる…さらに大企業による独自の企業福祉も見られた…アメリカ国民は租税負担を望まず、連邦国家であり地方の権限も強いことなどから、社会保障制度の確立は進まなかった…
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Social Security

■ デンマーク

ノルマン人(ゲルマン人)の一派であるデーン人が住みつき、8世紀〜11世紀のヴァイキングの時代にはヨーロッパ諸国を支配下に置き貿易を行った…以下デンマークの略歴だが大国として戦い続けた歴史がある…お隣スウェーデンとは常に戦争状態だった…しかしデンマークは相次ぐ敗戦により大国から転落…スウェーデンもあとを追うように大国としての地位を失う…
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Social Security

■ スウェーデン

スウェーデンは中世から厳しい自然環境下でがはあるが農業を生活の糧としていた…小作人や農奴のいない自作農が主流だった…しかし18世紀後半から地主による囲い込み運動により農業労働者が急増…同時に貧困者も増加する…イギリスよりも遅かったが救貧法が制定される…内容はイギリスとほぼ変わらなかったが、ワークハウスのような強制労働施設はなく相互扶助的な要素が強かった…19世紀になると鉱業や鉄鋼業、製材業などの工業化が進み、同時に貧困者の増加や労働条件の悪化が問題となる…
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