Amish

スイスに起源を持つキリスト教の分派がドイツ時代を経てアメリカに移住した現在オハイオやペンシルベニアを中心に人口20万人以上が居住しているなかでもランカスターは最初の入植地であり、最も人口密度の髙いアーミッシュ居住区になっている多くの居住区/教区ごとに違う習慣も存在するが、共通する特徴が彼らのアイデンティティを支えている

アーミッシュの生活は教区によって分けられるランカスターには160の教区がある教区は4~5名のリーダー(監督1名、説教者2~3名、執事1名)によって運営される彼らは「くじ」と呼ばれる聖書の慣例によって選任され、無報酬で一生涯奉仕する教会はなく、隔週日曜日に一軒の家に教区内200人以上のアーミッシュが集まり、質素な食事会と礼拝式が行われる…
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UTOPIA FOR REALISTS

隷属なき道
著 ルドガー・ブレグマン
訳 野中 香方子

◾️ 終章 「負け犬の社会主義者」が忘れていること

彼らは何もかもに反対する誰もがこう思っているはずだ「負け犬の社会主義者」はいったい何に賛成なのだろう彼らは語るべき物語を持たず、伝える言葉も持っていないまるで敗北を喜んでいるようにも見える
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UTOPIA

◾️ 第9章 国境を開くことで富は増大する

西側世界の発展途上国に対する過去50年間の支援総額は5兆ドルになるその支援は役に立っているのかエスターデュフロは開発支援を瀉血に例えた開発支援に科学的根拠は全くなかった

紀元前7世紀、バビロンに捕らえられたエルサレムのダニエルは美酒美食の振舞いを断り、戒律を守るために水と野菜だけの食事を要求する試した結果10日後も健康であったことにより戒律は守られることになったこの記録は史上最古の比較試験であり、史上最高のベストセラー「聖書」に収められた現代ではこの試験を「無作為化比較対照試験(RCT)」と言う海外支援へのRCTがようやく導入されたのは1998年だろうケニアの小学生に無料で教科書を配布し、成績が向上するか試験した結果は何の効果もなし以来開発支援には試験による客観的評価が追求されるようになる…RCTはモデルを作らず人間を気まぐれな生き物と見ているそしてこのアプローチが出す証拠は直感に反するものが多いこの証拠は哲学者や経済学者には予想できなかっただろう
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STATE DI ECCEZIONE

例外状態

国の始まりと維持に関わる話
法の正当性または妥当性に関する話
そして今日の国家の在り方に関する話

ドイツでは動物の殺処分がゼロだと言われているが、野良猫は住民による処分に任されているらしい日本におけるネズミやゴキブリのようなものかそれはつまり対象を絞り込むことで殺処分ゼロを維持していることになる生政治も同じ生を囲い込むことで排除している
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Schmitt

Carl Schmitt   1888-1985
Martin Heidegger   1889-1976
Antonio Gramsci   1891-1937
Walter Benjamin   1892-1940

以下シュミットの読み替え

友/敵
社会の中で生きていると幾つもの立場/役割/境遇に立たされるそれらは敵/味方を作る可能性を常に孕んでいて、そこから政治は生まれる権力をめぐって敵/味方が分かれるのではなく、敵/味方が権力を作るシュミットは政治を正義とか道徳とは別領域のものと考えていた善/美/益が味方で、悪/醜/害が敵にはならないそして人類が存在する限り敵味方の関係は無くならないつまり国家/政治/戦争は無くならない主権は国家にあり
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Benjamin

ベンヤミンの暴力論を自分なりに読み換えると

自然法
おそらく狩猟採集時代の小さな集団では何らかの規則めいたもの、つまりしきたりとか慣習とかそういうものが自然に発生して集団の維持を可能にしていたのだと思う「自然法」があるとすればそういうものではないだろうか大きな集団での複雑に構築された「法」はすでに自然とはいえない

自然な暴力(自然法的な暴力)
他種との生きるための対立がある殺されないための抵抗であったり食べるための捕獲だったり同種ではホッブズの言うようにはならないと思う同種が暴力を使うのは所有などが意識されてからではないかつまり「法」ができてからではないだろうか同種の自然な暴力は喧嘩などに過ぎず原始的な状態でも現代社会でも通常は問題にはならないだろうただし一旦大きな社会が作られた状態から秩序が維持されない状態になったらホッブズの言う自然状態があらわれるかもしれない
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UTOPIA

◾️ 第7章 優秀な人間が、銀行家ではなく研究者を選べば

ニューヨークで起きたゴミ収集作業員のストライキ積み上がったゴミを前に市長は譲歩アイルランドで起きた銀行員のストライキ多くの予想に反し混乱は避けられたそれどころか経済は成長し続けたゴミ収集作業員は私たちの生活に必要不可欠だしかし銀行員はそうではないらしいもちろん金融は資本主義社会にとって重要な役割を担っているところが今日の銀行は投機に忙しいその業務は富を移転しているに過ぎず、さらには富の破壊にまで及んでいる同様に社会にとって必要不可欠とは言い難い仕事が急増しているロビイスト、コピーライター、税理士今日高額の給料を手にしているのは、富を移転しているだけで、有形の価値を生み出さない人たちだ逆に社会の繁栄を支える人たちは安月給に耐えている
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Agamben

なぜ「奇跡の丘」に出演してるのか
調べてもそこだけは分からず

入門書の冒頭を読むと

体外受精で余った胚細胞の研究利用は可能かそのような細胞は死なすべきなのか死なすとは殺すことなのかそもそも生まれていないのだから殺していないのか生や死は定義上の問題に過ぎないのか人間とはなにか今日それを定義できるのは神学者でも哲学者でも科学者でもない国家(法)しかない人間の生は法の問題に転嫁され益々政治化するでは今日の大きな問題である難民はどうだろう法による定義とは対照的に人間の生が法の領域から遠ざけられる事態を招いているそれは未開人として扱われることに等しい
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UTOPIA

◾️ 第5章 GDPの大いなる詐術

GDPとは一定期間内に国が生産する付加価値の総計経済が良好であるかを示す指標として重視されているしかし家事やボランティアなどの給与のない無償労働はここには含まれないスマホが高精度で安価になっても技術の進歩を数字にできるわけでもない逆に環境汚染や病気、犯罪などはGDPにとっては多いほど良い結果になるそして格差や負債には無関心だ…GDPが示す経済成長は、ここ30年以上にわたって暮らしが向上する指標にはなっていない
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UTOPIA

◾️ 第3章 貧困は個人のIQを一三ポイントも低下させる

チェロキーインディアンの経営するカジノが大成功を収めた偶然にも現地の子供たちのメンタルヘルスを調査していたある教授は、カジノの成功によって貧困時代の問題行動が姿を消し学校の成績が向上する様子を目の当たりにする貧しいとなぜ人は間違った判断をするのかサッチャーはかつて貧困を「人格の欠陥」とさえ言った貧困は社会ではなく個人の問題であり自力で解決すべきことだとしかしチェロキーの事例を含め多くの研究結果は置かれた環境が原因であることを示している貧しいと余裕がなくなり焦りや不安が判断を鈍らせる長期的視野が奪われ目先のことだけでせいいっぱいになる
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