大きな鳥にさらわれないよう(2016)
著 川上 弘美
装画 nakaban
偶然同時に読んでいた『タネが危ない』(著:野口勲)と驚くほどリンクしていた…
クローン工場はメンデルの法則を利用したF1種(交雑種)を連想させる…
人間を地域ごとに隔離することは、固定種を維持する発想と重なる…
おまけに野口さんが携わった手塚作品も”大きな鳥”だ…
人工知能は答えに辿りつけない…
なぜなら知的認識とは「対象化」であり、答えからの「逸れ」だから…
知性が作り出すのはバーチャルな世界だ…
意味の世界のこと…
人の身体は意識(知性)を得て混乱した…
生のさまざまな姿は「私」や「欲望」や「孤独」へと変異した…
抑制や節度を失う時(ある意味神の不在によって)、バーチャルは暴走する…
知によって、人は依存症を患い、暴力装置と化す…
人工知能とは、知性が独立したものではないだろうか…
しかし人工知能は生(身体)を持たない…
動機を持たない、命令によって演算する装置に過ぎない…
人工知能に「私」や「欲望」や「孤独」は可能だろうか…
知の暴走はずっと前に始まっている…
装画を担当したnakabanさんは「フランドン農学校の豚」の絵も描いている…