ストーナー(1965)
著 ジョン・ウィリアムズ
訳 東江 一紀
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人は人生が終わることを理解していても受け入れることができない…
そんな風に見える…
生きているというより、生きることに抵抗しているかのようだ…
死を遠ざけることは生を否定している…
そうやって人生は作られる…
人生とは抵抗の軌跡だ…
そして何も分からず、何も解決しないまま終わっていく…
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特別な話ではない…
ただ、精緻でリアルな描写のせいもあり、気づけば引き込まれていた…
作者は自身とストーナーを重ねているように思えた…
ジョン・ウィリアムズは遺書を書いたのかもしれない…
過ごした世界に対する独白…
訳者の東江一紀さんは2014年に癌で亡くなっている…
同年「ストーナー」は刊行され、2015年に第一回日本翻訳大賞(読者賞)を受賞…
「ストーナー」は東江さんの最後の仕事であり、亡くなられたあとの受賞だった…
東江さんもまた、自身を重ねていたのだと思う…