外国人問題

私たちホモ・サピエンスは常に侵略者であり破壊者だった…それがゆっくりなのか急なのか、或いは先なのか後なのかの違いがあるだけだ…私たちはますます虚な世界の住人になろうとしている…失ってならないのは、国ではなく、自然(知り得ないもの)への畏敬の念や、私たちが何者であるのかの理解ではないだろうか…どこの国の人でもいい…人種も関係ない…私たちは土地に生き、身体で生きるべきなのだと思う…

現在、地球上には一種類の人間しか存在しない…白人や黒人、見た目に少しずつ違いはあるが、みんなホモ・サピエンス・サピエンスという一種類の人間だ…起源はアフリカにあるらしく、例えば南米の先住民は、アジア大陸を横断し、シベリア、アラスカを超え、北米、中南米を経由してたどり着いたのだろう…他の種であるネアンデルタール人などは絶滅した(ネアンデルタール人のDNAは一部残っているらしいので異種交配があったということだろう)…私たち日本人の祖先も樺太を経由したのか海を渡ったのか知らないが、アフリカを起源にしている…幸いと言うべきか、島国だったおかげで独自の文明を築いた…

日本で外国人が問題になっている…私たちがいま感じているのは、異文化に対する違和感ではなく、侵略や破壊に対する恐れだろう…しかしかつて私たちは彼らと同じように他所者だった…今では民家に降りてきた熊や猿を侵入者扱いしている…一方で、きっと数百年もすれば、ハーフやクォーターが増え、生粋の日本人は希少な存在になっていることだろう…エントロピーの法則はここにも適用できるのではないだろうか…

アメリカでも移民が問題になっている…しかし大多数を占める白人もあとからやってきた移民だ…先住民であるインディアン(ネイティブ・アメリカン)のことを忘れてはならない…コロンブスは決して英雄ではなく、侵略者であり破壊者だ…とはいえインディアンもまた移民であることに変わりはなく、彼らの祖先が北米にたどりついてしばらくすると、サーベルタイガーやマンモスが絶滅している…彼らもまた侵略者であり破壊者だった…ただその後インディアンは自然との共存の仕方を学んだのだと思う…

私たちが守らなくてはならないのは、おそらく自然を讃え受け入れる感受性、そして私たちが無力であるという認識ではないだろうか…日本人にもその名残はある…急激な近代化(欧米文化の浸透やグローバル化など)を経てもまだ完全には失われていない…インディアンの生活や思想の中にもあったもの…外国人問題の本質はずっと奥に隠れて見えにくくなっている…それは国籍や人種や宗教ではない…私たちはもっと土地や風土に根差した生き方を見直す必要がある…

今のところ政治に参加する(選挙に行く)気はない…同じことを繰り返すだけだから…政治は何も解決しない…政治(国家)とは、富や権力の効率化なのであって、それらを手放すことではない…ただひたすら競争(経済成長、技術革新、戦争、軍備拡大、人口拡大…)へと導く装置になっている…そういう流れに加担したくない…お世話になってはいても、少しずつ工夫して依存を解きたい…支配されたり襲われたりしたらどうするんだと言うけれど、それは隕石が落ちてきたり猛獣に襲われることと変わらない…そうなれば逃げたり抵抗したり死んだりとかするのだろう…