INTO THE WILD

荒野へ(1996)
著 ジョン・クラカワー
訳 佐宗 鈴夫

一人の青年の死を追ったドキュメント…結末は最初に記されている…問題はその真意であり著者は丁寧に検証を試みている…青年マッカンドレスに共通するものを感じた…トルストイやソロー…同じ場所にたどり着いている…プラープダー・ユンがスピノザに倣おうとしたことを忘れたわけではないが…

どうしても興味が持てない部分がある…
そこに道があると言うのだけど…

道徳…嘘が隠れている…
思考…答えを失くしている…
恩恵…何かを犠牲にしている…

死に近付こうとしているのではない…
私は死とともにある…
私を緩めることで生を感じようとしている…
マッカンドレスは生きるために動物を射止め食す一方、ソローの『WALDEN』を読み、菜食者のあいだでよく引用される箇所に印をつけ共鳴している

「肉食に対する嫌悪は経験によるものではなく、もって生まれたものである。粗末なものを食べて、質素に暮らす方がいろいろな点からして美しく思われた。それを実行に移したことはなかったが、実行できたらいいとは本気で思っていた。すぐれた才能とか、詩的才能を最良の状態で維持しようと努めてきた人は皆、とりわけ肉食や過食をつつしもうとしていたと思う。想像力に不快感を与えないような、質素で新鮮な食品を用意し、調理することは困難である。しかし肉体に食べ物を与えるときには、想像力にも与えるべきだと思う。想像力も、肉体も、同じテーブルにつくべきである。それはいずれ実現するかもしれない。ほどほどに果物を食べていれば、食欲を恥じることもなく、もっとも価値ある仕事を中断することもないのである。しかし料理に余計な香辛料を入れるのは、体に毒だろう。」

『INTO THE WILD』はディラン・ボウマンの愛読書でもある…
https://www.goldwin.co.jp/tnf/special/dylan_bowman