優しい語り手(2021)
講演 オルガ・トカルチュク
訳 小椋 彩 久山宏一
ポーランドも帝政ロシアの一部だった…
いま著者は何を思うのだろう…
本書はノーベル文学賞受賞の際の記念講演を書籍化したもの…
以下まとめてみた…
𝚿 𝚿 𝚿 𝚿 𝚿 𝚿 𝚿
世界は言葉でできている…
語らなければ、在ることをやめて消えていく…
今、言葉が、視点が、神話が足りない…
世界を語る新しい物語が欠けている…
わたしたちは多声的な「一人称の語り」の中で生きている…
そこで人は主役になった…
英雄や神々の場から個人の歴史へと舞台は移行した…
自分について語ることを、いまや誰もが手に入れた…
わたしたちは他者と同一化し、自分の生のように生きている…
しかしそれは不完全で落胆させられる…
普遍性の保証がないから…
足りないのは物語の寓話的な側面…
具体性を超えた主人公…
寓話は私たちの経験を普遍化する…
私たちは大量の情報、矛盾する情報が壮絶に争う時代に生きている…
知識は、繁栄、幸福、健康へ導くものと信じられていた…
しかし実際は、差異化と分断化、不協和音、騒音をもたらしている…
世界は死にかけている…
事物と出来事の集積になりつつある…
精神はうわべだけの儀礼的なものになりつつある…
物理的、経済的、社会的力は、私たちにゾンビみたいな動きを強いる…
作家の精神とは統合する精神…
かけらの数々から普遍的な全体を作ろうとする…
そして文学だけが、別の存在の人生に深く分け入ることを許す…
その理屈を理解し、感覚を共有し、運命を生き直す…
文学は自分以外への優しさの上に建てられている…
優しさは関係するすべてに人格を与える…
優しさとは、深く受け入れるもの、繋ぐもの…
𝚿 𝚿 𝚿 𝚿 𝚿 𝚿 𝚿
意味は常に恩恵を見ている…
あるいは損失や無駄に背を向けている…
そこには「ありのまま」の分断、破壊がある…
文学は壊れたものを繋ごうとする…
それは意味の無効化、無力化なのだと言いたい…
生の、全体の回復…
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