大きな社会を可能にしたのはハラリの言う虚構なのかもしれない…
サピエンスは知らない人と同じ社会で生きることができるようになった…
ハラリは国家、宗教、人権、会社、お金などを虚構と呼んでいる…
言わば「共同幻想」(厳密には幻想ではない)…
吉本氏の意味もそう遠くはないのでは…
しかしそもそもの始まりである「自分」と「世界」も虚構なのだろう…
弓矢もF=maも同じように虚構だ…
道具として加工したものも、概念や法則として抽出したものも…
理性が作りだす世界…
決して偽物ではない…
それらは「在る」とも言えるし「無い」とも言える…
ヒトは本来温厚で友好的な動物だと思う…
相互扶助の本性を持っている…
ホッブズの自然状態は、一旦築かれた虚構が壊れた瞬間のものではないだろうか…
虚構への依存が一挙にすべて解かれた状態…
人は虚構に依存している…
呪縛という言葉が相応しいかもしれない…
それなしでは生きれなくなっている…
そして虚構は虚構として在る…
脆さ、軽薄さ、都合の良さを備えている…
さらに人を狂わす…骨抜きにする…
遠い出来事や知らない人のことは、正直気にならないはずだ…
アフリカや中東の難民のことは分かっていても響かない…
ごく自然なこと…
人が求める自由、平等、平和とはどれほどのものなのか…
飼育や屠殺の現場を知らなければ肉を平気で食べられるのも虚構のおかげだろう…
肉は「食べ物」になっている…
人と同じように親子で愛情を育む動物たちの身体であったとしても…
遠くの人のことはとりあえず置いておいて…
とにかく目の前のこと、自分のことを考えないといけない…
犠牲の方ではなく、恩恵の方を見ないといけない…
それが正解になっていく…
そこから強者の論理が始まる…
さらには勝者、富者の論理になっていく…
ハウツーとか攻略とか、そういう知識が正解になっていく…
仕方ないから…それが結論になっていく…
理性…
モラル…
科学…
資本主義…
功利主義…
これらは虚構と相性がいいかもしれない…
虚構の本質に従順だ…
お墨付きを与える…
確かに自分だけ或いは自分たちだけ良ければいいのかもしれない…
動物たちもそうやって生きている…
猿たちは地球の反対側の猿たちに関心はない…
ただ人は動物の世界には無い恩恵を手にしている…
相応の犠牲を作る世界に生きている…
恩恵を手にしているのなら相応に加害者だ…