Hockney

David Hockney
That’s the Way I See it

☘︎「ラジオの上にはヨーロッパの地図が貼ってあった。どこの家でも地図を見ながら、連合軍がドイツ国内を進撃するニュースを聞いていたのだ。だから戦争が終われば、ニュースはもう無くなると思っていた。」(p15)

コピーと同じで技術が考え方や感じ方を変えていく…今では情報が大きな武器になってしまった…情報戦という側面もあるが、何を信じていいのか分からない(或いはそんなものはない)という側面も浮き彫りになってきている気がする…

☘︎「作品を通じて何かに近づいてもらいたい…。隔たりを取り除けば、人と人が近づき、お互いが同じひとつの存在であることに気づき始める。」(p15)

作品とは触れることで何かを変えることができる装置だ…
宛名のない手紙のようなもの…

☘︎「「やはり美しいもの、この世界」という言葉が好きだ。世界がすべての人間のためにあるという意味だからだ。…寂寥の地であっても、畏敬の念を起こさせる美しさがあるはずだ。」(p15)

特別な世界のことじゃない…人は美しいと思うものを切り取ろうとする…きれいにしようとする自然も限られた場所だ…二元論的思考(思考そのものが二元論的なのか)から逃れることはそう簡単なことじゃない…ありのままを感じたい…

☘︎「どんな用具に対しても適応できることが大切だ。僕は特にいろいろな種類のものを使い分けて楽しむ方だし、それぞれの持ち味を生かすように努めている。…先がごわごわになった筆しかなくても、それなりに変わった味が出せる。…わざと使いにくそうなものを見つけてきては新しい手法を探すのだ。」(p48)

この本が出版されたあと、iPadによる絵も多数残している…

☘︎「…同じ絵を何度も描き直すのはやめることにした。気に入らなければ、また新しくかき始める方が良い。それからというもの、ひとつの作品に対して積極果敢に立ち向かうようになった。これがコツというものだ。時間をかけ過ぎると、結局、やりすぎに繋がり、重苦しい絵になってしまう。手早く描くほど、新鮮な作品に仕上がるようになった。」(p52)

ホックニーは多作だ…
技術だけじゃなく、楽しむ才能が半端ない