THE LIVES OF ANIMALS
J. M. Coetzee
The Philosophers and the Animals
コステロはクッツェーの分身なのだと思う…
何かを欠いた分身…何かに特化した分身…
クッツェーはある意味ずるい…
ノーマが言うようにコステロの話はまとまりに欠ける…
しかしおそらくそれには理由がある…
コステロは理性を警戒している…
►「それにしても、この学識ある集団に受け入れてもらえる一番いい方法は、支流の流れが大きな川に注ぐように、人間対動物、理性対非理性、という偉大な西洋的言説に加わることだとわかっていても、そんなことをすれば戦い全体を譲歩することになると見越して、私の中の何かが抵抗するのです。(P38)
►「私は規制や規定食といったことにはあまり興味がありません。規制とか戒律には。私はその背後にあるものに興味があるのです。(P60)
►「自分の魂を救いたいからです。(P72)
P72の言葉は、菜食の理由を聞かれての返答…いずれにしろ上記の言葉は理性が望む着地点を避けているかのように受け取れる…何らかの態度や姿勢にこそ価値を見出しているかのようだ…理性は自ら作ったレールに導こうとする…他を排除し自らの優位性の中に完結しようとする…チェス名人の砦がチェスをすることであるように…コステロは理性神話に揺さぶりをかける…
【レッド・ペーター/カフカの猿】
私たちが猿から進化したことを思い出させる…
どこまでが猿で、どこからが私たちなのか…
ペーターは出口を求め、何かを失う…
【トレブリンカ/ホロコースト】
私たちは堕落と残酷と殺戮の企てに取り込まれている…
それは第3帝国の行為に匹敵する…
殺すために絶えずこの世に送り込む点では第3帝国も顔色なし…
心を閉ざした結果の暴走…
【哲学者/カント、デカルト…】
理性の象徴として哲学者が登場する…
理性は人間の思考の限定された領域の本質にすぎない…
【ラマヌジャン】
数学でものを考えた独学の人…
彼の心は理性と一致しているのか…
【ケーラー/スラタン(猿)】
スルタンは実用的思考によってバナナに仕向けられる…
【ネーゲル/こうもり】
生きているコウモリであることとは、充足した存在であるということ…
理性だけではなく、社会も同様にチェス名人のチェスではないのか…
私たちは監禁されて過ごしているかのようだ…
そしていつも出口へと誘導される…
コステロが理性に対置させるのは「心」…
►「心とは、他の存在を共有できるようにしてくれる共感という能力が宿る場所です。共感は主体とことごとく関係するものであって、客体、つまり「他のもの」とはほとんど何の関係もありません。(P56)
ダイアモンドが「同胞」という概念で説明する部分を思い出す…
►「たぶん、責任を負わせるために神々を作り出したんですよ。(P67)
クッツェーがコステロを作り出したように?
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