◾️ 第1章 過去最大の繁栄の中、最大の不幸に悩まされるのはなぜか?
人類はつい最近まで貧しく飢え、不潔で病を抱え、醜かった…しかしこの200年の間に突如裕福になり、清潔で健康になった…1820年に84%を占めていた極めて貧しい生活者が現在10%を下回っている…貧しかった頃、人々は理想郷を思い描いていた…しかしそれを手に入れようとしいる現在、豊穣の地は霧に包まれている…私たちの本当の危機は、よりよい暮らしを思い描けなくなっていること…子供達は親世代より悪い時代を生きることになると信じている…裕福になったのに以前にも増して懸命に働いている…政党はどこも似たり寄ったり…10代の最大の健康問題はうつ病…資本主義だけでは豊穣の地を維持できない…私たちは再びユートピアを描く必要がある…
◾️ 第2章 福祉はいらない、直接お金を与えればいい
2009年ロンドンで13人のホームレスを対象としたフリーマネーの給付実験が行われた…彼らは受け取った3000ポンドのうち年間で平均800ポンドしか使わなかった…購入したのは電話、辞書、補聴器…必要なものだけ…彼らは髭を剃り、屋根のある生活をし、家族と会い、将来の計画を立てるようになっていた…同様の実験は世界各地で行われ、フリーマネーの支給が、犯罪、小児死亡率、栄養失調、10代の妊娠、無断欠席の減少に繋がり、成績向上、経済成長、男女平等をもたらした…
「貧困とは現金がないこと、愚かだから貧困になるのではない」
リベリアではアルコール中毒者、麻薬中毒者、軽犯罪者などに対してフリーマネーを支給する実験が行われたが、彼らはそのお金を食料、衣服、内服液、小規模ビジネスに使った…彼らは怠惰になることはなかった…
アメリカでベーシックインカムを実行する費用はGDPの1%以下で済む…また、現行の社会保障制度は複雑で効率が悪いうえに、疑念と屈辱の制度に成り下がっている…
豊穣の地の住人である私たちは、先人が残してくれた言葉や技術など多くの社会資産を全員で分かち合うことが可能になっている…
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ベーシックインカムは現行の社会保障を放棄することとセットだ…それが例えば医療の進歩の妨げになってはいけない…また最初の不具合を乗り越えて新しい価値観が浸透するまではそれなりの時間が必要だと思う…そして財源の問題は確かにある…
ベーシックインカムよりも、もっと大掛かりで導入が難しそうな”民主主義”がすでに導入されている…とりあえず国は国民が運営できるようになった…次はお金を国民の手に…
お金とはもともと分け合うためのツールだった…今日のお金はそれ自体が奪い合う対象になっていないだろうか…法の内側で奪うことが儲けることで、法の外で奪うことは盗むこと…しかしお金が支給されるとどうだろう…盗む理由や欲だけではなく儲ける欲も揺らいでこないだろうか…所有から共有への一歩?
注目したいのは欲に任せた消費ではなく必要に応じた消費をするようになるということ…奪い合う社会では裕福でも貧しくても根底では余裕がなく、そこから生まれる価値観も余裕がないもののように思える…その価値観は資本主義と相性がいいのかもしれない…遊ばなきゃ…楽しまなきゃ…気持ちよくなきゃ…
奪い合うと足りない
分け合うと余る
…そんな言葉もある
[…] https://hitkeas.com/2018/09/06/utopia-2/ […]