SAPIENS

なぜサピエンスは他種を一掃するほどになりえたのか?原因は定かではないが、とにかく私たちは「新しい言語」を手に入れた

言語は人間だけのものではない…他の動物も何らかの手段で意思の伝達をしている…声を使うものも多い…ではサピエンスは何が特別だったのか…それは「噂話」に始まったという…噂話は目的が希薄であり、いわば日常会話…現在のSNSも同じだろう…形容、感想、意見、評価、推測、それらは絡み合い、見たことも触れたこともない「虚構」という新しい現実を作り出す…
虚構とはフィクションであり架空の出来事だ…しかしここで言う虚構とは私たちが普段信じているもののことを言う…例えば「国民」「お金」「人権」「正義」「法律」「会社」などなど…これらはすべて実在しない…ほかの動物が察知できない世界だ…意味によって編まれた世界にあるもの…紙切れや電子媒体に情報として記録されているものもあるかもしれないが、物理的には所詮紙切れである

「虚構」がもたらしたもの…より多くの集団で行動できるようになった…アリやミツバチは多数で行動できるが柔軟性はない…オオカミやチンパンジーは柔軟性はあるがごく少数での行動に限られる…サピエンスは赤の他人を含めた大勢で柔軟な行動ができるようになった
かつてはサピエンスも親密な集団のみで活動し、同じサピエンス同士での争いも絶えなかった…ちょうど『2001年宇宙の旅』のオープニングにあるような同族の争いはあっただろう…しかし新しい言語は理解と合流を可能にした…現在、私たちは会ったこともない人たちとともに同じ国民として生活している…そして会ったこともない人の死を悲しむこともない

私たちが手にした「虚構」による現実は「文化」と読み替えることができる…その文化は決して変化と発展をやめなかった…その変化のことを私たちは「歴史」と呼ぶ…生物学からの独立…キリスト教の台頭やフランス革命は、生物の身体的進化を解読しても理解できない

ここで言う「虚構」にバーチャルという言葉はふさわしくない…擬似ではなくオリジナルだろう…嘘や幻想でもない…人類特有の現実だと言える

私たちの世界に差別や争いが無くならないのは、ある意味「虚構」という無理のある繋がりに依存しているからなのかもしれない…