Arendt

Eichmann in Jerusalem

アイヒマンはナチスにおいてユダヤ人を強制収容所へ移送する指揮を担っていた…戦後は逃亡に成功し、ニュルンベルク裁判を免れている
その後アルゼンチンで潜伏生活をしていたところをイスラエルの諜報機関に逮捕されイスラエルに連行される…イスラエルの単独裁判によって絞首刑の判決がくだされ処された
アイヒマンは自らを有罪だと理解していた
しかし裁判での告訴状に対しては反論し、まずユダヤ人を直接殺害してはいないし命令もしていない…そして自分の行為は当時のドイツの法に従うものであり命令に服従したに過ぎない…と主張した…
誰もがアイヒマンと同じように考え行動していた…彼だけを裁くことができるのか…しかし抵抗した人もいた…彼らは任務を躊躇、辞退し、肉体労働に従事するか自ら死を選んだ…また、裁きは思想ではなく行為に対して行われるもの…よって逃れることはできない

◆ユダヤ人評議会
上位のユダヤ人指導者に与えられた特権…彼らはアイヒマンの元でユダヤ人の移送と一部亡命者の選別などを行なっていた…ユダヤ人指導者が間に入ることによってアイヒマンの任務は強い抵抗もなく遂行することができた…この事実はアレントの指摘によるものであり、アレントに対する多くのユダヤ人の反感の元となった

◆イスラエルでの裁判
イスラエルによる裁判はユダヤ人の復讐としての意味合いを拭きれない…アイヒマンは弁護人も認められなかった…ヤスパースはアレントとの書簡において、特定の国家ではなく人類全体の裁きを望む旨の提言をしていた…結果として典型的な戦争犯罪ではないことを認めながらもユダヤ人絶滅を目指すような人道に反する罪であることを追求できず不十分な内容に終わったと言わざるを得ない

◆悪の凡庸さ
アイヒマンは巨大な犯罪行為の一端を担っていたにも関わらず、本人はいわゆるフツーの真っ当な人間であり、犯罪者としての特徴は何も持ち合わせていなかった…自分の犯罪行為を顧みることなく淡々と任務を遂行していた…アイヒマンには想像する力、思考する力が欠如していた…