Arendt

The Origins of Totalitarianism

良識を持った一般国民までがヒトラーに幻想を抱いたのは何故か…
プロパガンダや利害関係だけではなく、道徳規範の崩壊があったから…
それはナチスとともに訪れ、ナチスの崩壊とともに去っていった

◆国家の成立 → 人種差別

国民国家
領土内の住民すべてを構成員(国民)として統一を計ろうとする国家
国王による王政と違い、主権は国民にあり法の元に統治される
国家領土と民族分布がほぼ同じ場合、国家はまとまる傾向にある…逆に同一民族が国家をまたがって分布している場合、または国家内部の複数民族のうち、単一民族が主導権を握った場合などは、内戦や侵略戦争の契機につながる…前者は西欧(イギリス、フランス)に見られ、後者は東欧(ドイツ、ロシア)に見られた…後者ではたらくナショナリズムは「種族的ナショナリズム」と呼ばれる

種族的ナショナリズム
自民族こそが最高の民族であるとし、人類の平等を否定する
ドイツにおいてユダヤ人が人種差別の対象となった

一般ドイツ人は、ユダヤ人排斥で得た恩恵と屈辱感、罪悪感により、その反動としてナチスに対する忠誠心を強めた

◆対立 → 国籍剥奪 → 難民

少数民族
国民国家の中で差別され孤立する…そして対立…
(最近ではロヒンギャ難民のことが連日伝えられている)

無国籍者
国籍を剥奪されると、無権利、無保護の状態になる
法を犯すことではじめて法が適用され、存在が確認される

ユダヤ人は無国籍者として国外追放される
厄介者は巡ってまたドイツに戻ってくる
ホロコーストの口実が固まっていった…
ドイツ国民の忠誠心も強固なものになっていく…

◆全体主義/大衆/孤立

「大衆」の特徴をまとめると…
多人数であり、政治に無関心であり、さらに政治的態度を拒む
「根なし草」としての人の集まり
公共空間を持たず、持とうとしない人たち
「孤立」した人の集まり

孤立…ひとり省みる孤独でもなく、集中に必要な隔絶でもない
孤立とは見捨てられた状態、絆が断たれた状態
全体主義はそれぞれが孤立した大衆を土台とすることに成功した

「テロル」と「イデオロギー」が効果を持つ
明日は我が身かもしれぬ密告の恐怖…テロルは他者への不信を煽る…民主主義の原則であった共同空間が失われる…個人の感覚は恐怖によって麻痺する…負の連鎖でひとつになる
イデオロギーは根拠を疑わない盲目性を備えている…経験や感覚よりも優先される…ナチス体制でのイデオロギーの浸透は体制強化に繋がった

「組織された孤立」の成立