APORIA

後期のデリダは不可能性に拘っていた
不可能性は様々な効果を生み出すという

贈与 Don
返礼を求めないのが贈与だろう
返礼を求めたら交換になる
しかし贈与は無言のうちに返礼を要求するものだ
贈与は不可能性を通じて生じる

喪 Trauerarbeit
喪が成就されるということは、ある意味故人の喪失から立ち直ることを意味しているのかもしれない
しかし立ち直ることは喪の失敗と言えないか…逆に故人を完全に忘れることもできない…
喪は不可能性を伴うことで成立している

赦し Pardon
些細なことは赦しとは呼べない
赦せないことを赦すことが真の赦しである
赦しは無関心でも無知でも鈍さでもない
赦しとは赦せないという不可能性を通じて下される

正義 Justice
本来の正義は不正や暴力に立ち向かう
そして法は正義の名のもとに成立し遂行される
しかし法はその起源において暴力を伴っていないか…
その遂行において暴力性の介入は全くないだろうか…
問題を伴わない事例に正義は必要ない
正義は不正義と共にある
正義はその不可能性を常に伴っている

思考は必ず不可能性を作るものだと思う
矛盾とか二律背反とか、頭のなかだけのことなのか…
しかし架空の話じゃない
それで病に陥る人もいる…そこには力学がある
人の世界はそれで動いている
病も矛盾もすべて自然…不自然ではない
いい流れを作りたい