■ 実存主義(ハイデガー)
哲学の主要な分野として「認識論」と「存在論」がある
現象学は認識論であり、実存主義は存在論
あらゆる存在は「本質」を有して「実存」していると言える
▶︎本質…理由・目的・根拠(普遍的・必然的) *動物の本能も含む
▶︎実存…現実の存在(個別的・偶然的) *これが一般的な「実存」
仮に「神」のような客観的視点は省いて考えてみよう
要するに「或る人」にとって「それ」がどういう存在になるのか…
例えばスプーンは明らかに道具としてつくられたことがハッキリしている
つまり【本質>実存】となる
では「或る人」=「人間」にとって「自分」はどういう存在か?
「自分」で「自分」の存在理由を見出そうとするが…
しかしそこにある存在理由は希薄なものではないだろうか…
人間は道具ではないし、すべて本能で行動しているわけではない
人間は【本質<実存】であり、とにかく放り出されてる存在といえる
ここで「実存」という言葉は、特別な意味合いを持つようになる
▶︎実存…「私」をもつ在り方であり、根拠を失っている在り方
これはキルケゴールやサルトルの言う実存に近いかもしれない
ハイデガーに習ってもう少し見ていこう
ハイデガーの存在論は現象学をベースとした実存主義である
「確信」を経由して「理由/意味/根拠」へ
相対的な関連の中で見出される意味や価値を問う
▶︎存在者…人間を含めたすべての存在単位
▶︎存在…存在者の存在理由
▶︎現存在…人間のこと(存在者&存在の規定者/私をもつ存在)
▶︎気遣い・関心…現存在が世界を捉えるときに使うフィルタ
可聴域を超えた空気振動は音ではない(気づかない)
今日蟻を何匹踏んだかはどうでもいい(関心がない)
「現存在」は「関心」というフィルタを本質とする
知覚を含め「関心」によって世界と関わっている
「現存在」は実体としての「コギト」ではない
「現存在」は相対的な関係において定義される
「現存在」は世界から「存在者」を分離抽出する…個(単位)の形成
▶︎世界内存在…すでに世界の中に投げ込まれている存在(被投性)
▶︎投企…自己の可能性(意味/価値)の創造…能動的、主体的
▶︎被投性…自分の意志に関係なく投企されていること…受動的、被主体的
▶︎共存在…現存在が複数同じように存在する在り方
▶︎頽落…共存在の評価に惑わされ、自分の本来性を見失う(非本来性)
▶︎気分…とにかく抱くもの(被投性)
▶︎了解…気分とセットで、自覚し引き受けること(投企のひとつ)
▶︎語り…気分&了解を具体的に言葉にすること(話す、聞く)
▶︎不安…死への不安であり、世界内存在において根本的に抱く気分
現存在は世界内存在であり、不安という最も根本にある気分をもっている
気分は了解、語りと経由し、可能性の投企へと向かう
しかし頽落により本来性を見失いがちだ
死への不安に立ち戻る時、人はこの非本来性からの脱却を試みる
慣れない概念の理解が必要で、似た言葉が並ぶたびに混乱する
実際、微妙にまちがってるだろう
分かりだすとリアルさが増す